~要求の厳しいAIユースケースにおけるCortex-M85のパフォーマンスを披露~

2023年3月9日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、Arm® Cortex®-M85プロセッサを搭載したマイコンに、人工知能(AI)および機械学習(ML)を実装したデモをembedded world 2023で実施することを発表しました。このデモではAI/MLアプリケーションの性能が、Arm HeliumTMテクノロジを搭載した新しいCortex-M85コアにより、従来のテクノロジに比べてどれだけ向上するのかを紹介します。デモは、3月14日~16日にドイツのニュルンベルクで開催されるembedded world 2023のホール1、スタンド234のルネサスのブースで実施する予定です。

 ルネサスは、2022年のembedded worldでも、Cortex-M85プロセッサを搭載したマイコンの実動作デモを業界で初めて展示しました。今年は、要求の厳しいAIユースケースにおけるCortex-M85の性能を紹介することにより、Armマイコンのリーダとしての地位をさらに強化します。1つ目のデモでは、ビジョンAIのパイオニアであるPlumerai社と共同開発した人検出アプリケーションを紹介します。このアプリケーションは、さまざまな照明や環境条件が変化する中でカメラフレーム内の人物を識別し、追跡することができます。このアプリケーションで使用されるコンパクトで効率的なTinyMLモデルは、さまざまなIoT機器に実装する際に低コストかつ低消費電力なAIソリューションを実現します。2つ目のデモでは、TensorFlow™ Lite for Microcontrollersとニューラルネットワーク用のフレームワークであるCMSIS-NNを使用して、モータ制御アプリケーションにおける故障予知保全のユースケースを紹介します。

 Cortex-M85は、6 CoreMark/MHz以上の高い周波数性能を実現しており、高い演算性能とDSP(デジタル信号処理)/ML機能を必要とする要求の厳しいIoTユースケースを、プログラミングが容易なCortex-Mプロセッサ1つで実現します。Armv8.1Mアーキテクチャの一部として、Mプロファイルベクトル演算拡張機能Heliumテクノロジを搭載しており、高度なDSP(デジタル信号処理)やMLアプリケーションの性能を大幅に向上させます。これにより、エンドポイントAI処理などの高い演算性能を必要とするアプリケーションの高速動作を可能にします。両デモでは、この技術をAIユースケースに適用し、動作性能を紹介します。また、Cortex-M85は、決定論的な動作、短い割り込み応答時間、最先端の低消費電力など、Cortex-Mの本来の特長も備えています。

 ルネサスの執行役員 兼 IoT・インフラ事業本部MCUビジネス担当ユニット長であるRoger Wendelkenは次のように述べています。「私たちは、Heliumテクノロジを搭載した強力なCortex-M85プロセッサの実装によって再び業界をリードできることを誇りに思います。新しいプロセッサ上でのAI性能のデモを通じて技術的な優位性をお見せすると同時に、革新的なエコシステムパートナと共に将来性のあるアプリケーションに向けてソリューションを提供できることも、お分かりいただけると存じます。」

 Plumerai社のCEOであるRoeland Nusselder氏は次のように述べています。「私たちは、この画期的なデモンストレーションに参加できて嬉しく思います。Cortex-M85コア搭載の新しいRA MCUでサポートされるArmのHeliumテクノロジによって、Plumeraiの推論エンジンは大幅に高速化します。この性能向上により、Plumeraiの人検出AIはより広範囲に対して正確になり、さらなる機能を追加したり、バッテリ寿命を延長したりすることも可能になります。お客様は、より精度の高い新しいAI機能をマイコン上で動作させたいと強く望んでいます。当社はルネサスとともに、業界で初めてこの要望に応える存在となります。」

 ルネサスは、Cortex-M85プロセッサを搭載した新シリーズのRAマイコンを開発中で、2023年にリリース予定です。ルネサスはこれまでに、250以上のArmベースのマイコンを発表し、Armマイコンのリーダとしての地位を急速に確立しつつあります。また、パートナ各社との強固なエコシステムを構築し、IoT、AI/ML、産業オートメーション、医療、ビルディングオートメーション、家電など様々なアプリケーションに向けて、すぐに使える包括的なソリューションを提供しています。

 Cortex-M85コアは、セキュアな資産を保護するArm TrustZone®テクノロジをサポートしています。Arm TrustZoneと、ルネサスの暗号エンジン、イミュータブルストレージ、鍵管理、DPA/SPAサイドチャネル攻撃に対する改ざん防止機能を組み合わせることにより、包括的で強固なセキュリティ機能を提供します。また、Armv8.1-Mアーキテクチャは、ソフトウェア攻撃の脅威軽減を強化したポインタ認証および分岐ターゲット識別(PACBTI: Pointer Authentication and Branch Target Identification)を採用することで、セキュリティ規格「PSA Certified Level 2」の準拠に役立ちます。

 もちろん、開発中の新マイコンはルネサスのRAファミリとして、FSP(Flexible Software Package)を利用できます。FSPは、リアルタイムOSやBSP(Board Support Package)、周辺ドライバ、ミドルウェア、コネクティビティ、ネットワーク、セキュリティスタックなどの基本ソフトウェアに加え、複雑なAI、モータ制御、グラフィックソリューションを構築するためのリファレンスソフトウェアを提供し、迅速なアプリケーション開発を実現します。ユーザは独自のソフトウェアコードや所望のリアルタイムOSをFSPに統合することができるため、アプリケーション開発に柔軟性を持たせることができます。FSPを使用することで、既存の設計を新しいRAデバイスに容易に移行することができます。

RAファミリの詳細については、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/ra

ルネサスのマイコンについて

ルネサスは、年間35億個以上を出荷するマイコンの世界的リーダです。約50%が自動車向けであり、他に産業用やIoT機器、データセンタ、通信インフラ向けに提供しています。ルネサスのマイコンは、8ビット、16ビット、32ビットの幅広いポートフォリオを持ち、特に16ビットと32ビットではリーディングサプライヤとして、高い性能と品質、電力効率を誇ります。ルネサスは信頼できるサプライヤとして、スマートで安全なマイコンを設計してきた数十年の経験を持ち、デュアルファブ生産モデルや、業界最先端のプロセス技術、200社以上のエコシステムパートナを有しています。ルネサスのマイコンの詳細は、こちらをご覧ください。www.renesas.com/MCUs

以 上

*Arm、Arm Cortex、Arm HeliumおよびArm TrustZoneは、EUやその他の国におけるArm Limitedの商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする